まちの未来をつくる。浜松市で建築現場をまとめる若き女性監督の想い
静岡県浜松市に本社を置く「中村建設株式会社」は、1920年に事業の歩みを始め、1955年に設立された総合建設会社。建築部の松下侑世(まつした ゆきよ)さんは、入社8年目の施工管理者として、ふるさと浜松の建築現場をまとめています。
大学では建築とインテリアのデザインを学んだ松下さん。けれど選んだのは、設計ではなく「現場」でした。なぜ現場を選び、いま何を目指しているのか。その想いを聞きました。
中村建設株式会社は、土木と建築を軸に「まちの未来をつくる総合建設業」を掲げ、地域のインフラや建物づくりに100年以上携わってきました。
浜松市に本社を構えるほか、東京・名古屋に支店を置き、東北から西日本まで各地に営業所を展開。店舗や工場の新築から修繕・改修まで幅広く手がけ、2022年には、まちのシンボルでもある浜松城天守閣の外装改修工事も請け負いました。
松下さんは浜松で生まれ育ち、高校卒業後は名古屋の大学で生活環境デザインを学びました。在学中は、自ら設計した建物を図面や模型で表現する課題に取り組んでいました。
卒業制作では、学生時代から打ち込んできた吹奏楽にちなみ、音楽好きが集まるゲストハウスを設計。しかし学びを深めるうちに、心惹かれているのはデザインを生み出すこと以上に、建物が形になっていく過程そのものだと気づいたといいます。
そんなとき背中を押したのが、現場監督として働く知人の勧めです。吹奏楽も建築も、一からみんなで一つのものを築き上げるもの。そう考え、施工管理の道を選びました。
浜松に戻ったのも、大学時代から所属していた社会人吹奏楽団での活動を続けたかったから。
「浜松で働きたかったのは、一番はやっぱり吹奏楽でした」
知人の紹介と、説明会で感じた社風に惹かれ、2019年にUターン就職。数年前に楽団は離れましたが、吹奏楽で知った「みんなでつくる喜び」は、いまも松下さんの仕事の原点になっています。
施工管理は、図面どおりに建物を完成へ導く仕事です。柱となるのは「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4つ。工事を予定どおり、安全に、品質を守りながら、予算内で進めていきます。さらに、職人さんや協力会社、施主さんの間をつなぐ調整役も担います。
そんな松下さんの1日は、朝礼から始まります。職人さんと段取りを確かめたら、事務所に戻って、図面のチェックや書類づくり、社内での打ち合わせに取りかかります。
昼前、午後、夕方と、現場へ出向き、職人さんと言葉を交わしながら、作業の様子を自分の目で確かめていきます。
頭の中で思い描いていた建物が少しずつ現実のものになっていく。その瞬間に立ち会えるのも、この仕事の面白さです。
担当するのは、店舗の新築や改修が中心。現場と現場の間にも、細かな修繕工事を並行して受け持ちます。
「施工管理は、ただ指示を出すだけの仕事ではないんです。計画性やコミュニケーション、リスク管理など、いろいろな力が求められます」
自分の携わった建物が、やがて地域の暮らしに溶け込んでいく。そこに誇りを感じているといいます。
とりわけ思い出深いのは、デザインに凝った商業施設の改修工事。工期はわずかで、上司の力を借りながら、後輩と二人三脚で現場を担当しました。
「本当に大変だったんですけど、最後にお施主さまから『ありがとう』と言ってもらえて。実際にお店を使っているお客さんを見たときに、言葉では言い表せないやりがいを感じました」
当時、心の支えになったのは、父親世代のベテラン職人さんの存在だといいます。松下さんが困っていると、自分の仕事で忙しいはずなのに「しょうがないな」と言いながら手を貸してくれる。疲れた顔をしていれば、「大丈夫か?」とそっと声をかけてもらえることも。
「それこそ吹奏楽と一緒で、一つのものをつくり上げる。そんなことを感じた、一番心に残っている建物です」
松下さんは、主に現場事務所を拠点に業務を行っていますが、1つの現場が終わったあとは、本社で仕事をしています。
本社は1階が管理部門、2階が建築部門、3階には土木部門があります。
社内は若手が多く、活気にあふれています。女性の先輩や後輩とも年代が近く、働きやすい職場だと話します。
また、学ぶ環境も整っているのだとか。新入社員は入社1年目、毎週金曜日の午後に勤務時間内の資格勉強会へ。現場に必要な講習も、会社の後押しで受講できます。
松下さんが暮らすのは、浜名湖まで車で10分ほどの浜松市の西部。海や山が近く、都心ほどの喧噪もないので、週末は気軽にリフレッシュできるといいます。休日には、叔父さんの小船に乗って浜名湖で釣りを楽しむことも。
「クイッときたときの、『何が釣れるかな』っていう瞬間が楽しいんです」
暮らしの中で感じる魅力は、自然だけではありません。
「静岡県には、困ったときに見返りを求めず助けてくれる、温かい人がたくさんいます。だからこそ、私も周りの方々への感謝の気持ちを忘れずに仕事に取り組もうと思えるんです」
周りへの感謝を忘れずに歩む松下さんが、いま目指しているのは、1級建築施工管理技士の資格を取り、一人前の監督になること。その先には、ひとつの想いがあります。
「女性の施工管理者として、女性ならではの視点や気配りを生かしていきたいです。自分が経験したことを後輩に伝えて、これから施工管理を目指す女性の道しるべになれたら」
職人さんや先輩に支えられてきた松下さん。今度は、自分が後に続く人を支える番です。
まだ男性のイメージが強い、施工管理の仕事。だからこそ、これから目指す人たちへ、松下さんはこんなエールを送ります。
「大変だと感じることもありますが、頑張った分だけ大きな達成感を味わえます。たくさんの人と協力しながら、一つのものをつくり上げる喜びを感じられる仕事です。少しでも興味がある方は、ぜひ一歩踏み出してみてください」
吹奏楽で知った「みんなでつくる喜び」を胸に、松下さんはこれからも建築現場をまとめ、ふるさと静岡県のまちの未来をつくっていきます。
【中村建設株式会社】
・企業概要
中村建設は、静岡県浜松市に本社を置く総合建設会社です。1920年に始まった事業の歩みを受け継ぎ、土木と建築を両輪に、地域のインフラ整備や建物つくりに携わり、地域の暮らしを支える幅広い仕事を手がけてきました。2022年には、浜松のシンボルである浜松城天守閣の外装改修工事を担う一方、東京・名古屋の支店をはじめ、東北から西日本まで各地の拠点で事業を展開しています。近年は、建設現場で発生した土を再利用する流動化処理工法や、自社社屋でのNearlyZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルに近い建物)の実現、脱炭素を目指し、環境・エネルギー分野の取り組みにも力を入れています。
・採用ページURL














